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大草原の小さな家シリーズ全9巻

■大きな森の小さな家
■大草原の小さな家
■プラム川の土手で
■シルバー湖のほとりで
■農場の少年
■大草原の小さな町
■この輝かしい日々
■初めの四年間
■我が家への道

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このシリーズに至っては本は知らずともTVで見た事のある人は多いだろう。
本を一通り読むと最初の一読では
主人公ローラの少女らしさと古き時代のアメリカ開拓生活が
生き生きと描かれすんなりと頭の中に入ってくる。

だが、2度3度と読み返していくうちに
父さんの脳天気さ、母さんの差別意識の強さ、
そして職業階級意識にゲンナリしてくる。

主人公ローラも物語上では自分の意思を持つシッカリ者の
賢い元気な少女と設定されているが、
結局は親の敷いたレールを走る汽車でしかないとも気付いてしまう。

『そんなだから絞りかすの如く働いても最後まで貧乏なんだよっ』

そう悪態の一つも吐きたくなる程に。

シリーズ第1作目の大きな森の小さな家では毎日がキャンプ生活のようだ。
森で熊や鹿を狩り、かえで糖やハチミツを摂る。
家では家畜の豚を捌き、自家製のチーズやバターを作る。
屋根裏には沢山のカボチャや玉ねぎを蓄え
毛皮と交換に町で生活必需品を手に入れる。

今の時代には無いほのぼのとした生活様式に羨ましくなってくる。
実際は想像も付かない不便を忍耐を強いられるのであろうが、
そんな不幸せは微塵も感じられず、
ただただ幸せな森の一家として受け取れる。

次巻あたりからきな臭くなり、父親は今よりもよい生活=自由と金
を求め渡り鳥の様に目の前にある話に飛びく。

母親の白人絶対主義。
インディアンへ対する容赦ない差別と侮蔑。

両親揃ってが長女メアリーの頭の良さを誇り
教師にしようと思うものの失明と云う不幸に見舞われたとたん
主人公ローラに遠回しに教師になる事を熱望する。

賢いと誉れ高い人物で有った夫婦の愚かさが
今、この時代になって見えてくるのは
人種差別、職業貴賎、が当たり前の様に
全世界に根付いてしまっていたせいだろう。

本の出版当時はそんな事は当たり前、
白人が一番偉くて当然と云う時代だったからこそ許される言動が
多々見受けられる。

だが全巻通して強く逞しく生き抜こうとする一家の姿は美しい。
『金持ちは夏に氷を得、貧乏人は冬に氷を得る。』
だから結局氷は皆の手に平等に手に入るのだと言う、
この哲学的な楽観主義一言がローラ一家の像をよく現している。

純粋に文学として楽しむには
大きな森の小さな家と農場の少年とだけを
読むのがいいかもしれない。
by rocca00 | 2004-05-27 02:59 | 生活.読、聴、観、遊
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