■大きな森の小さな家
■大草原の小さな家 ■プラム川の土手で ■シルバー湖のほとりで ■農場の少年 ■大草原の小さな町 ■この輝かしい日々 ■初めの四年間 ■我が家への道 ------------------------------------------------------------ このシリーズに至っては本は知らずともTVで見た事のある人は多いだろう。 本を一通り読むと最初の一読では 主人公ローラの少女らしさと古き時代のアメリカ開拓生活が 生き生きと描かれすんなりと頭の中に入ってくる。 だが、2度3度と読み返していくうちに 父さんの脳天気さ、母さんの差別意識の強さ、 そして職業階級意識にゲンナリしてくる。 主人公ローラも物語上では自分の意思を持つシッカリ者の 賢い元気な少女と設定されているが、 結局は親の敷いたレールを走る汽車でしかないとも気付いてしまう。 『そんなだから絞りかすの如く働いても最後まで貧乏なんだよっ』 そう悪態の一つも吐きたくなる程に。 シリーズ第1作目の大きな森の小さな家では毎日がキャンプ生活のようだ。 森で熊や鹿を狩り、かえで糖やハチミツを摂る。 家では家畜の豚を捌き、自家製のチーズやバターを作る。 屋根裏には沢山のカボチャや玉ねぎを蓄え 毛皮と交換に町で生活必需品を手に入れる。 今の時代には無いほのぼのとした生活様式に羨ましくなってくる。 実際は想像も付かない不便を忍耐を強いられるのであろうが、 そんな不幸せは微塵も感じられず、 ただただ幸せな森の一家として受け取れる。 次巻あたりからきな臭くなり、父親は今よりもよい生活=自由と金 を求め渡り鳥の様に目の前にある話に飛びく。 母親の白人絶対主義。 インディアンへ対する容赦ない差別と侮蔑。 両親揃ってが長女メアリーの頭の良さを誇り 教師にしようと思うものの失明と云う不幸に見舞われたとたん 主人公ローラに遠回しに教師になる事を熱望する。 賢いと誉れ高い人物で有った夫婦の愚かさが 今、この時代になって見えてくるのは 人種差別、職業貴賎、が当たり前の様に 全世界に根付いてしまっていたせいだろう。 本の出版当時はそんな事は当たり前、 白人が一番偉くて当然と云う時代だったからこそ許される言動が 多々見受けられる。 だが全巻通して強く逞しく生き抜こうとする一家の姿は美しい。 『金持ちは夏に氷を得、貧乏人は冬に氷を得る。』 だから結局氷は皆の手に平等に手に入るのだと言う、 この哲学的な楽観主義一言がローラ一家の像をよく現している。 純粋に文学として楽しむには 大きな森の小さな家と農場の少年とだけを 読むのがいいかもしれない。
by rocca00
| 2004-05-27 02:59
| 生活.読、聴、観、遊
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